ものづくり補助金等を申請する際、自社内で全て完結させるのか、コンサルタントに申請支援をしてもらうのか、お悩みの会社様もいらっしゃると思います。

また、コンサルタントに申請支援して貰いたいとお考えの場合、どのようなコンサルタントを選ぶのがよいか、判断にお悩みという会社様もいらっしゃると思います。

この記事では、ものづくり補助金の申請を検討する際、コンタルタントに支援してもらうことをお考えの会社様に選ぶ際のポイントや注意点等を解説いたします。

そもそも申請サポートは必要なのか

社長様のご意向や社内会議等で、ものづくり補助金を申請して設備投資するという方針が決定した場合、そもそもサポートを依頼するかしないか、お悩みになると思います。

依頼するかしないかの判断基準は、①手間(どれくらい時間がかかるのか)、②採択率は変わるのかの2点が大きいと思います。

(ア)手間(時間)はどれくらいかかるのか

ものづくり補助金の申請書を作成するのに、一般的に準備期間ですと1~1.5ヶ月程度準備時間ですと50時間~100時間ぐらいかかります。

準備時間については、公式サイトのアンケートデータがあり、70時間以上かけている割合は約4割、50時間以上かけている割合は半分以上に上っています。

ただ、これはコンサルタントの支援を受けてる場合を含むので、自社単独で準備する場合はもっと時間がかかると思っていただいた方がよいと思います。

また、採択後、特に補助金をもらうまでの間、膨大な書類を揃えて提出しないといけません。

採択後、補助金を貰うまでに、①交付申請、②遂行状況報告、③実績報告等の書類を作成し提出する必要がありますが、これらの書類を揃えるにも追加で50時間程度かかると思って頂いた方がよいと思います。

(イ)採択率は変わるのか

採択される確率が高くなるか否かは、コンサルタントの能力によるに尽きます。

近年は、独立コンサルタントの増加、副業の解禁等により、補助金コンサルタントの人数も増え、ネット広告やHPに掲載する支援者も増加しています。
また、大手コンサル会社に依頼しても、下請けの独立間もないコンサルや、仕事の少ないコンサルに依頼しているケースもあるという声を耳にします。

ただ、コンサルタントの能力・品質はかなりバラツキがあると感じます。

全体の採択率の平均でみると、30~40%代が多いです(コロナ禍ではもう少し採択率は高かったです)が、依頼するメリットがあるコンサルか否かは目利き力が大事です。

上記(ア)(イ)を考慮した上で、サポートを依頼するかしないかご判断いただけたらと思います。

コンサルタントを選ぶ際の注意点

(ア)採択率や採択件数などをアピールする広告やコンサルタントに注意する

最近は、補助金コンサルも増加していて、「補助金申請の採択率●%以上」「採択実績●件」「補助金獲得額総額●億円」などの謳い文句でPRされているコンサルタントもいらっしゃいます。

ただ、①書いたもの勝ち・言ったもの勝ちの部分もあり、実態はわからない(あまりにも盛っている場合は、虚偽・景品表示法・誇大広告である可能性も?)、②どの補助金(ものづくり補助金、事業再構築補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等、種類も難易度も様々)の成績なのかわからない、③誰が支援した実績なのかをわからない(下請けコンサルタントに外注した場合の実績を含めている等)といったケースも見受けられると感じます。

そのため、できれば信頼できる方からのご紹介などの方が好ましいとは思いますが、そのような伝手がない場合は、実際に依頼する前に、上記の内容を確認しておくことをおすすめいたします。

(イ)どの業界を得意としているか/専門業界は何か

事業計画を策定する上で、支援するコンサルタントが精通している業界は何かは重要と考えます。

なぜなら、その業界の知識がなければ、外部環境分析は困難ですし、それを踏まえてどうやって他社と差別化を図るかを検討することも困難です。

そのため、支援を受けるコンサルタントの得意な業界は何か、これまでどのような業界の支援してきたかも認されることをおすすめいたします。

なお、弊社は、①繊維業界(縫製工場(布帛製品製造)やニット製品工場等)、②自動車業界(座席シートやカーマット等)、③カバン・バッグ業界(皮革製品製造)、④プラスチック製品業界(射出成型、切削加工等)、⑤金属加工業界(飲食料品の充填機器や産業機器の部品等)の会社様をご支援させて頂くことは多く、これらの業界には精通しています。

(ウ)経営学に精通しているか/コンサルタントの保有資格は何か確認する

ものづくり補助金に採択されるためには、審査員に良い点数を付けてもらう必要があります。

申請書(事業計画書)には、「設備投資(或いは研究開発)をすることで、どれだけ生産性が向上し、売上・利益拡大することが期待できるか。その実現性は高いか等」をロジカルに説明していく必要があります。

よい計画書(申請書)は、①SWOT分析(外部環境分析、内部環境分析)、②3C分析、③ポジショニングマップ、④5フォース分析など経営学で良く使われるフレームワークを用いて、具体的かつ実現可能性の高いものであるケースが多いです。

そのため良い計画書(申請書)を完成させるには、事業計画を立てるのに必要な経営学に精通しているか否かが、ポイントです。

そこで、資格別で問われる知識について解説いたします。

(ⅰ)中小企業診断士の資格で問われる知識

中小企業診断士はあまり知名度は高くありませんが、日本で唯一の経営コンサルタントの難関国家資格で、合格率は5%前後です。

1次試験は、①経済学・経済政策、②財務会計、③企業経営理論、④運営管理、⑤経営法務、⑥情報システム、⑦中小企業施策の7科目。

2次試験は、①組織・人事、②マーケティング・流通、③生産・技術、 ④財務・会計の4科目から構成されています。

全ての中小企業診断士が優秀かと言ったら、全くそうとは思いませんが、経営コンサルタントの難関試験に合格した人物であることは事実です。

(ⅱ)行政書士の試験で問われる知識

行政書士は官公庁に提出する書類の代書屋のプロです。

代書屋としてプロではありますが、経営学の知識が試験で問われることはないので、経営学の勉強したことがあるか、事業計画策定の能力があるかに依存すると思います。

(ⅲ)税理士の試験で問われる知識

税理士は、税の専門家として、確定申告をはじめとする、税務署などへの申告や申請などを納税者に代わって行うプロです。 確定申告書などの税務書類などを作成したり、税金に関する助言・アドバイスをする専門家であり、簿記論や財務諸表論が必須科目となり、その他は税法に関する科目を選択(全11科目から5科目選択)する試験制度です。

そのため、数字に関しては知識豊富という認識で正しいと思いますが、経営学やマーケティング等については試験で問われていません。

(ⅳ)公認会計士の試験で問われる知識

公認会計士は、医師や弁護士と並び三大国家資格と言われています。
公認会計士は会計のプロとして、監査、財務・経理、会計コンサルティングなど多岐にわたります。

かなり勉強ができるということは間違いありませんが、経営学・経済学・民法・統計学の中から1科目選択となっており、経営学の知識が必須というわけではありません。

以上より、経営学の知識があるか否かを判断材料とすることも選ぶ上でのポイントです。

(エ)誰が計画案を検討するのか

ものづくり補助金の計画案は誰が検討するのかを確認することも大切です。

例えば、大手コンサル会社に依頼した場合であっても、ヒアリングは有資格者の従業員が行ったとしても、計画案を検討するのは下請けの独立間もないコンサルや、仕事の少ないコンサル、非有資格者が対応しているというケースもあるという声を耳にします。

仮に下請けに依頼したとしても、最終的な品質チェックや修正はどのコンサルタント(専門家)が行うかなど事前に確認されることをお勧めします。

(オ)コミュニケーション能力と文章作成能力があるか

有資格者の専門家であっても、ヒアリング能力や業務推進能力などのコミュニケーション能力がなければ、スムーズに支援は進みません。

また、有資格者であるということと、分かりやすい文章や提案書が書けるかは別の問題です。

これは文章作成力の問題ですが、常日頃から読む人が分かりやすい文章を書く能力を見買いしている人であるかというのも、採択されるか不採択になるのかを大きく分けます。

サポートを受ける際の注意点

サポート受ける際の注意点は以下の通りです。

補助金コンサルタントのサポートを受ける際の注意点
  • 事業者(申請企業)が主体的に取り組む計画を策定すること
  • 申請代行・代理申請・丸投げはNG
  • サポート内容・料金をしっかり確認する

詳しくは、下記の記事にまとめていますので、ご参考ください。

最後に

この記事では、ものづくり補助金の申請を検討する際、コンタルタントに支援してもらうことをお考えの会社様に選ぶ際のポイントや注意点等を解説させていただきました。

ものづくり補助金が採択されるか否か、採択後スムーズに進むのかは、支援するコンサルタントの品質に大きく影響します。 十分にご検討いただいた上で、依頼することをおすすめいたします。

弊社は大阪を拠点とし、全国の中小企業様の申請サポートしております。ご不明な点がありましたら、フォームよりお問い合わせください。