省力化補助金・ものづくり補助金等、設備投資系補助金では「専門家にどこまで任せられるのか」が分かりにくく、判断を迷いやすいポイントです。一方で、「代理申請」「申請サポート」「書類作成支援」「申請代行」など似た言葉が多く、違いが分かりにくいのが実情です。

本記事では、「中小企業診断士×行政書士×認定支援機関」の立場から、「本人申請」「代理申請」「申請代行」「申請サポート(申請支援)」の違いを整理します。あわせて、依頼できる範囲や違反(行政書士法等)になるケース、注意点、不採択や採択取消につながり得る運用上のリスクまで、実務目線で分かりやすく解説します。

本人申請/代理申請/申請サポート(申請支援)/申請代行の違い

区分 定義(要点)
本人申請 申請者(事業者)が内容を確定し、提出まで行う
代理申請 委任にもとづき、代理人が一定範囲で手続きを行う(代理権の範囲内)
申請代行 申請者が確定した内容を前提に、第三者が提出行為を代わる(提出代行)
申請サポート(申請支援) 本人申請を前提に、整理・文章化・チェック等で支援する
※本記事は一般的な整理であり、最終判断は公募要領等をご確認のうえ、ご自身で行ってください。

本人申請の定義

申請者(事業者)が申請内容を自ら確定(意思決定)し、申請手続きを進めることです。最終的な確認・提出も申請者が行う前提になります。補助金の「応募申請においては、本人申請が大原則です。

代理申請の定義

申請者が代理人に委任し、代理人が申請者に代わって一定範囲で意思決定するものです。
補助金実務では、応募申請は本人申請が大原則である一方、一部の補助金では採択後の「交付申請(採択後の手続き)」等において、代理申請(委任)による手続が認められる場合があります。
なお、その場合であっても官公署に提出する手続に該当するため、報酬を得て代理して行うことは行政書士(行政書士法人)等の有資格者に限られます。

申請サポート(申請支援)の定義

申請サポート(申請支援)とは、本人申請を前提に、専門家が要件整理・文章化・チェック等で申請者の申請業務を支援することです。
代理申請のように申請者に代わって意思決定・手続きを行うものではありません。
また、官公署への申請書類自体の作成は、行政書士(又は行政書士法人)等の有資格者に限られます。
一方、中小企業診断士や認定支援機関等は、助言・アドバイスや、収益計画・調査結果をまとめた資料の作成・提供など、申請書の基礎・参考資料の提供にとどまります。

申請代行の定義

申請代行とは、申請者が本来行うべき申請の提出行為を、第三者が代わりに行うことを指し、本人申請ではなくなります。
また、委任にもとづく代理申請でもなく、申請サポート(助言・チェック等)のつもりでも、提出行為を第三者が行えば申請代行とみなされ得ます。
多くの補助金の応募申請は「本人申請」が求められています。そして、採択後の交付申請等では一部の補助金のみ「代理申請」が認められる場合があります。
申請代行とみなされる行為は、不採択や採択取消のリスクになり得るため注意が必要です。

行政書士の「代理申請」はどこまで可能、どこから違反なのか

補助金の「代理申請」は、すべての手続きで自由にできるものではありません。
多くの制度では応募申請は本人申請が原則である一方、採択後の交付申請では、制度によって代理申請(委任)が認められる場合があります。そして、代理申請できる場合であっても、報酬を得て代理申請できるのは行政書士(行政書士法人)等の有資格者に限られます。

公式資料により代理申請が可能であることを確認できているのは、現時点では「省力化投資補助金(一般型)」の交付申請に限られます(2025年12月末時点)

省力化投資補助金(一般型)の場合

応募申請は本人申請が原則/交付申請(採択後)では代理申請が認められています

応募申請では、「申請者自身が理解・確認の上、申請者自身が申請」し、申請者自身による申請(本人申請)と認められない場合は不採択と記載されています。
一方、採択後の交付申請では、代理申請のための委任関係を管理する機能がある旨が示され、代理申請が認められています。
ただし、代理申請の場合も、申請の主体・責任は委任元(申請者)にあることが明記されています。あわせて、報酬を得て官公署に提出する申請手続の代理を行う者は行政書士等に限られます。
※参考:省力化補助金(一般型)公式サイト掲載の『公募要領』『応募申請の手引き』『電子申請マニュアル(交付申請)』

なお、制度要件は 省力化投資補助金(一般型)の申請要件 で詳しく解説しています。

事業承継・M&A補助金の場合

応募申請について、申請者自身が理解・確認の上で申請すること、本人申請と認められない場合は不採択または交付決定取消となり得ることが記載されています。
また、行政書士(行政書士法人)でない者が、申請者に代わって有償で申請の作成を行うことは行政書士法違反の可能性があり、判明した場合に交付決定取消となる可能性がある旨まで明記されています。
※根拠:事業承継・M&A補助金 公式サイト掲載の公募要領(13次PMI枠)

なお、制度要件は 事業承継・M&A補助金の申請要件 で詳しく解説しています。

ものづくり補助金の場合

公募要領で、代理申請や不正アクセスは一切認められない旨が明記されており、本人申請を前提に運用する必要があります。また、不採択等の取扱いにも言及があります。
※参考:ものづくり補助金 総合サイト掲載の公募要領(代理申請の注意事項)

なお、制度要件は ものづくり補助金の申請要件 で詳しく解説しています。

行政書士/中小企業診断士/認定支援機関ができること(書類作成編)

前章の「代理申請」とあわせて混同されやすいのが、「申請書類の作成」と「事業計画書(骨子)の作成」です。ここでは、誰がどこまで関与できるかを、両者に分けて整理します。

申請書類作成とは

補助金の「申請書類作成」とは、官公署に提出する申請書を最終形に整え、提出書類として完成させる行為を指します。
報酬を得て、業としてこれを行う場合は、行政書士(行政書士法人)等の有資格者に限られる点に注意が必要です(2026年施行の改正で趣旨がより明確化になりました)。
※参考:「行政書士法の一部を改正する法律」の施行について(日本行政書士会連合会)
※参考:行政書士法改正に伴う弊社対応(補助金申請関連)について

事業計画書(骨子)作成とは

一方、事業計画書の「骨子」作成は、経営課題・投資効果・販売戦略・収益計画などを整理し、申請者が申請書に落とし込むための基礎・参考資料を作る行為です。
経産省の「グレーゾーン解消制度」でも、個別事例の照会書公表において「申請書類そのものではなく、調査結果をまとめた資料」を提供する整理が示されています。
※参考:グレーゾーン解消制度の活用事例(該当PDF/経済産業省)

実務での役割分担の一例

混同が起きやすいため、実務では、次のように役割を分けるとわかりやすくなります。

  • 申請者:計画の最終意思決定/申請書の最終確認
  • 行政書士(行政書士法人):官公署への提出書類の作成/代理申請(各補助金の認められる範囲内で)
  • 中小企業診断士・認定支援機関:骨子(戦略・数値・根拠資料)の作成、要件整理、チェック、改善提案(=申請の中身を強くする領域)

行政書士に依頼するメリットとデメリット

メリット

  • 官公署に提出する書類の作成(完成版)を、報酬を得て業として行うことができる。
  • 認められている範囲で、採択後の交付申請等の代理申請を行うことができる。

デメリット

  • 行政書士試験の中心は行政法・民法等の法律科目であり、経営学・財務会計・事業計画策定は試験範囲外のため、経営の知識が担保されていない。
  • そのため、採択を左右する“事業計画(市場・競争・収益計画・投資回収・KPI設計)”の設計が弱いままになりやすい。

中小企業診断士に依頼するメリットとデメリット

メリット

  • 中小企業診断士の試験科目として財務・会計/企業経営理論/運営管理(生産・オペレーション)等を含み、一定程度は、事業計画・数値計画の設計の知識が担保されている。
  • 補助金審査で問われる「課題→打ち手→効果→根拠(数値)」を、経営目線で組み立てやすい。

デメリット

  • 官公署に提出する申請書類の完成版作成や、代理申請が制度上認められている手続であっても、報酬を得て行うのは行政書士(行政書士法人)等に限られる。無資格者が有償で行うと行政書士法違反となるおそれがある。

認定支援機関に依頼するメリットとデメリット

メリット

  • 認定支援機関は、国の「一定程度の支援実績・体制がある」と認定した支援者。補助金によっては、申請時に認定支援機関の確認書(確認)が求められる場合があります。

デメリット

  • 中小企業診断士と同じく、官公署に提出する申請書類の完成版作成や、代理申請が制度上認められている手続であっても、報酬を得て行うのは行政書士(行政書士法人)等に限られる。無資格者が有償で行うと行政書士法違反となるおそれがある。

クレアストの特徴

  • クレアストは、大阪・近畿を拠点に、製造業向けの設備投資系補助金の計画策定を得意とする「中小企業診断士×行政書士×認定支援機関」のコンサルティング会社兼行政書士事務所である。
  • 代表者は製造メーカー出身のコンサルタント(中小企業診断士・行政書士)であり、受注生産品の立ち上げ・工程設計に長年携わってきた。設備投資の事業計画は、工程ベースで設計することを得意とする。
  • 2015年以降、10年以上にわたり補助金の申請サポートに携わり、累計250件以上の各種補助金の採択支援実績を有する。
  • 採択後の交付申請・実績報告等まで支援し、補助金を「獲得して終わり」にしない伴走型のサポートを行っている。

さいごに(大阪・関西から全国対応)

本記事では、本人申請/代理申請/申請サポート/申請代行の違いと、違反リスクが生じやすい線引きを整理しました。補助金は制度や手続によって運用が異なるため、迷う場合は早めに要件整理と役割分担を固めて進めることが重要です。

クレアストは大阪・関西を拠点に、全国の製造業の設備投資に関する補助金活用のご相談に対応しています。