
※出典:経済産業省 中小企業支援チラシ
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2024年12月に令和6年度補正予算が成立し、2025年より、「中小企業成長加速化補助金」が新設されました。
売上高100億円を目指す、飛躍的な成長を目指す中小企業の設備投資、建物費、ソフトウェア費等を補助することで、物価高や最低賃金引上げへの対応、地方における持続的な賃上げを実現することを目的とした補助金です。
中小企業成長加速化補助金とは
中小企業成長加速化補助金は、令和6年の補正予算で新たに創設され、2025年より開始される補助金です。これまで、新型コロナ以前の時期には補助上限額が3,000万円を超える補助金は非常に少ない状況でした。また、2024年に導入された大規模投資補助金では最低投資額が10億円と設定されており、その中間に該当する補助金が存在していませんでした。この状況を補う形で、最低投資額が1億円の新しい補助金が創設されました。この制度は、売上高100億円を目指す成長志向の中小企業を対象とした設備投資支援を目的としており、補助上限額は5億円、補助率は1/2となっています。
補助対象者・補助上限・補助率
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 売上高100億円への飛躍的成長を目指す中小企業 |
補助上限額 | 5億円 |
補助率 | 1/2補助 |
補助事業実施期間 | 交付決定日から24か月以内 |
補助事業の要件 |
① 投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分) ② 「売上高100億円を目指す宣言」を行っていること ③ その他、賃上げ要件など |
補助対象経費 | 建物費、機械装置等費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 |
なぜ、売上100億円目指す企業を国が支援するのか
なぜ売上100億円を目指す企業を後押しするのか。その理由は、中小企業庁の研究会報告書に示されている次の3つの観点からだと読み取れます。
(ア) 海外の需要(外需)を獲得する力が高い

※出典:中小企業庁の研究会報告書
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売上100億円規模の企業は、国内市場の限界を超え、海外需要を積極的に取り込む力を持っています。特に、1社当たりの直接輸出額が他規模の企業より高く、グローバル市場での競争力を発揮できる点が特徴です。規模の拡大により海外市場でのブランド構築や現地対応が強化され、国内需要縮小の影響を補完する持続的成長が期待できるとされています。
(イ)地域経済を牽引している

※出典:中小企業庁の研究会報告書
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100億円企業は地域経済の牽引役として重要な役割を果たしています。報告書によると、域内仕入率や仕入高が高く、地域内の経済活動を活性化する波及効果が顕著です。また、脱炭素技術や地域密着型M&Aを通じて、地域課題の解決や経済安定化にも寄与すると期待されています。
(ウ)賃金水準が高い

※出典:中小企業庁の研究会報告書
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100億円企業は持続可能な利益を確保し、高い賃金水準を実現しています。これにより社員の待遇が改善されるだけでなく、雇用創出や人材の定着が促進されます。高い賃金と福利厚生は社員のモチベーションを向上させ、企業全体の生産性を高める好循環を生み出すことができると期待されています。
基本要件の売上高100億円を目指す宣言とは?

※出典:経済産業省 中小企業支援チラシ
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「売上高100億円を目指す宣言」とは、中小企業が「売上高100億円を超える企業になること」およびそれに向けたビジョンや取り組みを自ら宣言し、それを特定のポータルサイト(令和7年春頃に開設予定)上に公表する取り組みを指します。この宣言を行うことで、企業は以下のようなメリットを享受できます:
- 自社PRの強化: 「宣言」マークを使用して自社の取り組みをアピールできる。
- 経営者ネットワークへの参加: 同じ志を持つ経営者とのネットワーク形成やイベント参加が可能。
- 補助金活用: この宣言が条件となる中小企業成長加速化補助金の申請が可能
宣言内容には、企業の現状、成長目標、具体的措置、実施体制、経営者のコミットメントなどが含まれます。詳細は令和7年2月以降に公開される予定の募集要領で確認する必要があります。
なぜ100億円企業を目指すのに宣言や経営者ネットワークへの参加が必要なのか
自社PRの強化: 「宣言」マークの活用する目的
- 競合他社との差別化や、自社の成長意欲を外部に示すツールとして「宣言」マークが有効です。これにより、自社の取り組みを広く周知し、信頼性やブランド力を高める効果が期待されます。
経営者ネットワークへ参加する目的
- 成長志向の経営者同士の交流は、成功事例や課題解決策の共有を通じて新たな成長機会の発見につながります。特に、優れた経営者との対話や刺激を受けることで、行動変革を促進し、成長のきっかけとなるケースが多いです。
- また、地域や業界を超えたネットワークの構築は、新しい市場や事業パートナーとの接点を増やし、ビジネスチャンスの拡大に貢献します。
これらの要素は、単なる補助金活用にとどまらず、企業の持続的成長に向けた基盤づくりとして極めて重要です。成長企業の共通点として、こうした外部との連携を積極的に活用する点が挙げられています。
コンサルタントから補助金サポートを受ける際の注意点
注意点①:事業者(申請企業)が主体的に取り組む計画を策定すること
申請時に提出する事業計画書は、事業者(申請企業)が主体的に計画し、売上高100億円を目指すために取り組む姿勢が大前提です。中小企業成長加速化補助金の目的は、大規模な設備投資を通じて飛躍的な成長を実現し、地域経済や日本経済をけん引する企業を創出することにあります。採択を左右する事業計画書の内容は、自社の成長戦略や市場環境を十分に踏まえ、外部専門家の助言を活用しながらも、主体的に策定する必要があります。
注意点②:申請代行・代理申請・丸投げはNG
中小企業成長加速化補助金でも、コンサルタントや外部専門家に申請を丸投げしたり、代理申請を依頼する行為は認められていません。申請には事業者(申請企業)自身のG-Biz IDを使用して電子申請を行う必要があります。G-Biz IDのログイン情報は、行政書士や外部コンサルタントを含む第三者に共有することが禁止されています。コンサルタントは事業計画策定の補助や、補助金申請における加点項目への対応についての助言を行う立場です。
注意点③:サポート内容をしっかり確認する
中小企業成長加速化補助金のサポートは多様化・複雑化しています。採択実績のあるコンサルタントを選ぶことは重要ですが、以下のポイントを事前に確認しておくことが必要です:
- サポートの範囲: どれぐらいのサポートを受けることができるのか。
- 成功報酬の範囲: 採択発表までなのか、補助金入金まで含むのか。
- 電子申請サポート: システム操作やWEB会議でのアドバイスが受けられるか。
- 採択後・補助金入金後のサポート: 交付申請・実績報告・事業化状況報告への対応支援は受けられるか。
これらを事前に明確化することで、申請後のトラブルや予想外の費用発生を防ぐことができます。
さいごに ※大阪から全国対応可
今回は、中小企業成長加速化補助金の概要と、コンサルタントのサポートを受ける際の注意点を解説しました。
弊社は全国対応で中小企業の成長支援に取り組んでおります。不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。