
※出典:経済産業省 中小企業支援チラシ
クリックして拡大。
2024年12月に令和6年度補正予算が成立し、中小企業支援施策として新たに、「中小企業新事業進出補助金」が新設されました。
中小企業等が行う既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的とした補助金です。
中小企業新事業進出補助金とは
中小企業新事業進出補助金は、新規事業への進出により、企業の成長・拡大を図る中小企業に対する新たな補助金で、2025年から新たに実施される中小企業支援施策です。
2021年よりはじまった事業再構築補助金は、コロナの影響を受けた中小企業の立て直しを支援し、地域経済の活性化を目指してきましたが、様々な問題が浮き彫りとなり、行政レビューによる制度が見直しされることになりました。
中小企業新事業進出補助金は、既存事業と異なる事業への前向きな挑戦であって、新市場・高付加価値事業への進出を後押しすることで、中小企業等が企業規模の拡大・付加価値向上を通じた生産性向上を図り、賃上げにつなげていくことを目的としており、事業再構築補助金の後継版と言えます。
補助対象者・補助上限・補助率
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦を行う中小企業等 |
補助上限額 |
従業員数20人以下:2,500万円(3,000万円) 従業員数21~50人:4,000万円(5,000万円) 従業員数51~100人:5,500万円(7,000万円) 従業員数101人以上:7,000万円(9,000万円) ※補助下限750万円 ※大幅賃上げ特例適用事業者(事業終了時点で①事業場内最低賃金+50円、②給与支給総額+6%を達成)の場合、補助上限額を上乗せ。(上記カッコ内の金額は特例適用後の上限額。) |
補助率 | 1/2補助 |
基本要件
中小企業等が、企業の成長・拡大に向けた新規事業(※)への挑戦を行い、以下の基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。 (※事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること)
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上増加
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が、事業実施都道府県における 最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、 又は給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上増加
- 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円 以上の水準
- 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等
留意点
(ア)収益の納付は求められない
中小企業新事業進出補助金に採択され設備等を導入したのち、補助事業による成果として収益が発生した場合であっても、その収益を国に納付する必要はありません。2025年実施分からは、ものづくり補助金など他の補助金においても、従来まで求められていた収益納付が免除になりました。そのため、新規事業で成功し収益が大きく上がった場合であっても、補助金返還を気にする必要はなくなりました。
(イ)基本要件②③未達で、未達率に応じて補助金返還を求められる
採択された後、基本要件②(1人あたり給与支給総額の年平均成長率)、基本要件③(事業所内最低賃金が事業実施都道府県における地域別最低賃金+30円 以上の水準)の目標が未達となった場合は、未達成の度合いに応じて補助金の一部返還が求められます。
ただし、付加価値が増加してないかつ企業全体として営業利益が赤字の場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還を免除します。
(ウ)補助事業実施時間は交付勝手位から14ヶ月以内(採択発表日からは16ヶ月以内)
補助事業の実施期間は、交付決定日から14か月以内、採択発表日から16か月以内と厳格に定められています。この期間内に、事業の計画実施から実績報告までのすべての手続きを完了する必要があります。期限を超過した場合は、補助金を受け取ることができなくなりますので、スケジュール管理を徹底し、厳守する必要があります。
(エ)目的外使用は認められない(既存事業等には使用できない)
新規事業への挑戦を目的としているため、既存事業での使用や、他の目的で使用することは認められていません。不適切な使用が発覚した場合、補助金の返還や罰則が課される可能性があります。補助金の対象経費や使用用途を事前に十分確認し申請し、採択後・設備導入後も適切に運用するための管理体制を整えることが必要です。
コンサルタントから補助金サポートを受ける際の注意点
注意点①:事業者(申請企業)が主体的に取り組む計画を策定すること
申請時に提出する事業計画書は、事業者(申請企業)が主体的に計画し、取り組む姿勢が大前提です。中小企業新事業進出補助金の目的は、新規事業への挑戦を通じて生産性向上や付加価値創出を実現することです。採択を左右する事業計画書の内容は、自社の事業環境や成長戦略を踏まえて、外部専門家の助言・アドバイスを受けながら、主体的に計画を立てる必要があります。コンサルタントはその補助的な役割を担うものです。
注意点②:申請代行・代理申請・丸投げはNG
中小企業新事業進出補助金でも、コンサルタントや有資格者に申請を丸投げしたり、代理申請を依頼する行為は認められていません。申請には事業者(申請企業)自身のG-BIZ IDを使用して電子申請を行う必要があります。G-BIZ IDのログイン情報は、行政書士や外部コンサルタントを含む第三者に共有することは禁止されています。コンサルタントは、事業計画の策定支援や加点項目に対する助言など、補助的なサポートを行う立場にあります。これらを踏まえ、事業者自身が申請プロセスに主体的に関与することが必要です。
注意点③:サポート内容をしっかり確認する
中小企業新事業進出補助金のサポートは、年々多様化し複雑になっています。採択実績の豊富なコンサルタントを選ぶことは重要ですが、そのサポート内容を事前にしっかり確認することが必要です。例えば以下のポイントに注意してください。
- 加点項目のサポートが着手金に含まれているか。
- 成功報酬の範囲が、採択発表までなのか、補助金入金までのサポートを含むのか。
- 電子申請サポートの充実度:システム操作方法や打ち合わせ・WEB会議でのアドバイスが受けられるか。
- 補助金入金後のサポート:事業化状況報告や報告義務が5年間続く中で、これらをサポートや伴走支援が可能か。
- 追加費用の有無:どこまでが成功報酬に含まれるのか、不採択時のフォローがあるかどうか。
これらを事前に明確化しておくことで、申請後のトラブルや予想外の費用発生を防ぐことができます。
最後に
今回は、中小企業新事業進出補助金(事業再構築補助金の後継版)の概要やサポートを受けるときの注意点などを解説させていただきました。
弊社は大阪を拠点とし、中小企業様のサポートしております。
ご不明な点がありましたら、フォームよりお問い合わせください。